
はじめに:機材沼にハマる遅いトライアスリート
私は、アイアンマン・ケアンズを16時間9分で完走した、いわゆる「完走ギリギリ」の市民アスリートです。
そんな私の最近の悩みは、バイクパートでの疲労感。「MAVIC Ksyrium SL」という軽量ホイールを使っているのですが、40kmも走ると脚が売り切れてしまう感覚がありました。
「これはきっと、ホイールのせいだ」
「30万円のディープリム(Bontrager Aeolus)を買えば、慣性で勝手に進んでくれるはずだ」
そう思い込んだ私は、清水の舞台から飛び降りる覚悟で新しいホイールを検討し始めました。しかし、高い買い物だけに失敗はしたくない。そこで、思い切った行動に出ることにしました。
AIと英語で世界に挑む
日本のショップで聞くと「高いのが正義」と言われそうだし、そもそも私のレベルでディープリムなんて笑われるかもしれない。
そこで、「AI(Gemini)」を使って英語の質問文を作成し、海外の巨大掲示板「Reddit」に投稿してみることにしました。

投稿内容はこんな感じです。
タイトル:
「ハムスターの回し車」からエアロの恩恵へ。16時間完走者がアドバイスを求む
悩み:
「今の軽量ホイールは足を止めるとすぐ減速して辛い。Bontragerのディープリムなら慣性で楽になる?」
証拠写真:
自分のバイクとフォームの写真を添付
英語が苦手な私でも、AIに「ネイティブっぽく翻訳して」と頼めば一瞬でした。
結果:予想外の「愛あるダメ出し」
投稿して数分後、世界中のトライアスリートからコメントが届き始めました。
しかし、その内容は私が期待していた「Bontrager最高だよ!買っちゃえ!」というものではありませんでした。

一番最初に届いたコメントがこれです。
「ホイールなんて買うな!フォームを直せ」
そして、具体的な改善ポイントが次々と指摘されました:
1. サドルの高さ
「Saddle seems high(サドルが高すぎる)」
写真を見た瞬間、複数のユーザーから同じ指摘が。サドルが高すぎると、ペダリング効率が落ちるだけでなく、エアロポジションが取りにくくなるとのこと。
2. 腕の幅とエアロポジション
「Your arms are too wide, you’re like a parachute(腕が広すぎてパラシュートみたいだ)」
エアロバーの幅を狭くして、肘をもっと内側に。これだけで空気抵抗が大幅に減るそうです。さらに、頭をもっと低く保つことで、前面投影面積を最小限にできるとのアドバイス。
3. ウェアとヘルメット
- ウェアのシワが風の抵抗になっている(もっとタイトなウェアを)
- 通常のヘルメットではなくエアロヘルメットに変えるべき
4. 厳しい現実
そして、最も印象的だったコメント:
「君のフォームで高いホイールを買っても、お金の無駄だ。まずは上記を全部直してから、それでも速くなりたいならホイールを考えろ」
なんと、ホイールの相談をしたはずが、「機材よりフォーム」という本質的なアドバイスを受けることになったのです。

考察:物理学が教える「速さの正体」
さらに、別のユーザーからはこんな物理学的な指摘も。
「君が感じている『楽さ』の正体は『慣性(重さ)』じゃない。『エアロ(空気抵抗の少なさ)』だ。だから遅い君こそ、軽さよりエアロを選ぶべきだ」
目から鱗でした。
私は「重いホイール=慣性で進む」と思っていましたが、実際には「空気抵抗が減るから楽に進む」のが正解だったのです。そして、私のフォーム(腕の開き、サドルの高さ)が、そのエアロ効果を台無しにしていたことも判明しました。
まとめ:英語の壁を超えた先にあるもの
今回のReddit体験で、私は2つの大きな収穫を得ました。
- 「機材よりフォーム」という本質:30万円のホイールを買う前に、まずフォームを徹底的に改善すべきだということ
- 無料でプロ級のフィッティング指導を受けられた(通常なら数万円の価値!)
もし日本国内だけで情報を探していたら、「高いホイールを買えば速くなる」という幻想にお金を払っていただけかもしれません。
AIとネットを使えば、言葉の壁を超えて、世界中の「集合知」にアクセスできる。
これこそが、私のような市民アスリートが1億円(の価値ある情報)を手にするための最短ルートだと実感しました。
次は、指摘された「サドルの高さ」と「腕の幅」を修正して、実際にどれくらい楽になるか試してみたいと思います。



